旅で出会った人々(2)

下関に着くまでの十日間、たくさんの人々との出会いがあった。


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○松江を愛するおばあちゃん。



おばあちゃんが愛している宍道湖 島根県の県庁所在地、松江に着いたときのこと。


もう午後11時を回っていたので、すぐに休めそうな場所を探し、
宍道湖(しんじこ)にある公園に行き着いた。(写真→)

気温も高く、テントを張る必要もなさそうだったので、
ベンチにマットだけ敷いて寝ようと、準備をしていると…



     ドキッ! Σ(゚Д゚ノ)ノ



すぐ近くに、宍道湖を静かに見つめるおばあちゃんがいるのに気づいた。



(こんな時間におばあちゃん一人?? ボケちゃったのかなぁ。なんか気味が悪いな。。。関わらないようにしなきゃ…。)



そう思った俺は、なるべくそちらを見ないよ〜に準備を進めた。

すると…


「おにぃちゃぁん、どっがぁら来たのぉ?」 


Σ(゚ロ゚;)キタ〜〜!


自転車旅行では "お決まりのパターン" の声かけだけど、
人気も街頭もない、ほぼ真っ暗な状態の公園で、

"気味の悪いおばあちゃん"

から声をかけられた俺の心境を想像してみてほしい。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタ


しかし、無視するわけにもいかない。恐る恐る、




(自) 「と、東京ですけど。。。」



(ば) 「あんれまぁ。じゅいぶんどおぐがらきったんだねぇぇぇ。いづきぃたのぉ?」 (←こんな感じのしゃべり方。)



(自) 「松江には、さっき着いたばかりです。」



(ば) 「あぁ〜そぉ〜。」 



   「まぁ〜つ江ぇはいいとこだぁんよ〜。」





   (あれ?)



   (このおばあちゃん、意外と普通の人かもしれない…(^。^;))



そう思うと、俺の警戒心もなくなり始め、
それから約1時間、俺はそのおばあちゃんとの会話を楽しんだ。



このおばあちゃん、生まれも育ちも松江で、72年間ず〜っと松江に住んでいる生粋の松江人。

松江を心から愛し、年老いてからは毎晩、大好きな宍道湖を、一人で眺めに来るという。

俺との会話も、8割は "松江の魅力" についてだった。

そんなおばあちゃんは、口癖のように

   「まぁ〜つ江ぇはいいとこだぁんよ〜。」  を連発。



本当に松江が大好きなんだなぁ。

 

1時間も立ち話しちゃったけど、あんなに自分の故郷を愛せるなんて

心からうらやましいと思った!


(俺にはきっとできない。。。) (-ω-;)


宍道湖を見渡せるホテルのバイキング 城下町松江のシンボル 松江城
おばあちゃんに松江のいいところ・魅力をたっぷりと教えてもらったおかげで、

次の日の松江観光は、とても充実したものになった。



別れ際に、

「これぇ。あぁしたのあさぁたべぇ〜なぁ。」

ってくれたクリームパン。

朝、おばあちゃんを思い出しながら、宍道湖を眺めて食べました。



"すぅげぇう〜まかぁったぁ〜!"




そして考えた。



"ボケちゃったのかなぁ。なんか気味が悪いな。。。関わらないようにしなきゃ…。"




なんて…

外見と偏見で他人を判断する自分。
他人との関わりに臆病な自分。
自分の愛せる故郷を持っていない自分。


恥ずかしくなった。



松江のおばあちゃんとの出会いは、一生心に残るであろう思い出になった。

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